陣痛が来た時は、まずはリラックス
【産痛について】
産痛とは、赤ちゃんが生まれるために、子宮が収縮したり、産道が広がったり、骨盤や会陰部分が圧迫されたりすることで感じる痛みのことです。
分娩は3つの段階に分けられます。陣痛が始まってから子宮の出口が完全に開くまでを第Ⅰ期、その後赤ちゃんが生まれるまでを第Ⅱ期、胎盤が出てくるまでを第Ⅲ期といいます。
(分娩第Ⅰ期)
分娩開始から子宮口全開大までの時期をいい、初産婦は約10〜12時間、経産婦は約5-6時間程度となります。分娩が始まると、まず「陣痛」と呼ばれる痛みが始まります。これが子宮の収縮によって起こり、赤ちゃんを押し出すために重要な役割を果たします。子宮の上の部分が収縮して、子宮口が開いたり、子宮の下の部分が広がったりすることで、お腹や腰、背中の下の部分が痛みとして感じられることがあります。
陣痛は波のようにやってきて、間隔が狭くなっていきます。
陣痛が進むと、子宮口が開いていきます。この過程で、子宮の収縮に伴う強い痛みや圧迫感が感じられることがあります。この痛みは非常に強く、しばしば腰や背中に放散されます。
(分娩第Ⅱ期)
分娩第Ⅱ期は子宮口全開大から児娩出までの時期をいい、初産婦は約1-2時間、経産婦は約30分-1時間時間程度となります。子宮口が完全に開くと、出産の準備が整います。この時、赤ちゃんが産道を通るために「いきみ」の力を使うことが必要です。子宮の収縮や子宮口の伸びによる痛みは少し楽になりますが、子宮の下の部分が広がる痛みはまだ残ります。さらに、赤ちゃんが下がることで、会陰や産道が広がる痛みが加わります。特に会陰の部分では、焼けるような痛みを感じることが多いです。
(分娩第Ⅲ期)
分娩第Ⅲ期は児娩出から胎盤娩出までの時期をいい、初産婦では約15〜30分、経産婦では10-20分と言われています。分娩第Ⅲ期は20分ほどで、通常はあまり痛みを感じませんが、ママによっては胎盤が出る際にも痛みを感じることもことがあります。また、産後の子宮収縮による痛みが感じられることもあります。いわゆる後陣痛(こうじんつう)です。特に、初産よりも経産婦の方が痛みを感じやすいことがあります。
これらさまざまな部位の痛みは分娩第Ⅰ期から第Ⅱ期で突然変化するものではなく、強さを増しながら徐々に変化していきます。
【子宮口について】
そもそも子宮口とは、ちくわのように管状になっている子宮頸管が開いていくことで広がっていく穴のことをいいます。
妊娠中、子宮頸管は管の長さを3〜4cm前後に保ちながら、赤ちゃんが子宮の外に出ないようにギュッと子宮口が閉じている状態です。
子宮頸管は子宮が収縮することで薄く引き伸ばされていく性質があります。
妊娠中閉じていた子宮口は、前駆陣痛によって開きやすくなり、陣痛が来ることでどんどん開いていき、最後は10cm開くことで赤ちゃんが子宮の外に出られるようになります。
ただ、赤ちゃんが生まれてくるためには、ママの膣の中を通ってくる必要があります。赤ちゃんにとっては、狭い通路を通って出てくるようなものです。
赤ちゃんは自分の力で出ることができないので、ママがいきむことで外に出てくることができます。出産には「娩出力=陣痛といきむ力」「産道=赤ちゃんの通り道」「娩出物=赤ちゃん、胎盤など」という3つの要素が大切です。この3つがバランス良く働くことで、出産がスムーズに進行します。
分娩の3要素の中でも娩出力は、とても重要な働きをしています。「娩出力=陣痛」を味方につけるために産痛を和らげるポイントをお伝えいたします。
腎兪(じんゆ)
ウエストラインにあります。腰 に手を置いて親指が届くあたりです。
次髎(じりょう)
お尻の割れ目の上・背骨の終わりに逆三角形のかたちの仙骨があります。その仙骨の骨の両脇に、へこみがたて4つに並んでいます。その上から2番目のへこみに、次髎というツボがあります。左右対称に2箇所になります。腰にあるツボであることから、骨盤内の血行を良くし腰痛に効果があるとされています。また、仙骨を刺激することでリラックス効果があるとされ、痛みをやわらげる効果も期待できるかもしれません。
三陰交(さんいんこう)
三陰交とは、足の内くるぶしから指4本分上の位置・すねの骨の少し内側にあるツボです。
安産や陣痛促進に効果があるとされており、温めてあげることで痛みをやわらげるともいわれています。女性ホルモンを促す効果も期待できるため、産後の身体の回復にも良いとされています。
合谷(ごうこく)
手背側の母指と示指がまじわるところ
万能のツボといわれています。
【お産の痛みの和らげ方(産痛緩和について)】
分娩時に産婦が感じる痛み(陣痛)は、女性が生涯に経験する痛みの中で最も強いものと言われています。分娩に伴う痛みは産婦にとって恐怖の対象となり、またそれに対する緊張感から分娩進行に悪影響を与える可能性もあります。緊張すると痛みが強くなり、その痛みが不安を増やし、不安がさらに緊張を引き起こします(リード理論)。不安が大きいと、息を止めたり、腹筋が固くなったりして、子宮が圧迫されて痛みが強くなります。また、陣痛の合間にリラックスできずに緊張し続けると、子宮口が開きにくくなり、子宮の血流が悪くなって痛みが強くなったり、疲れやすくなったりします。さらに、骨盤底の筋肉が固くなると、会陰がうまく広がらなくなってしまうこともあります。
安全で安心なお産のためには産痛の緩和を図ることは重要です。
痛みの感じ方は、個人の痛みの耐性や出産の進行具合によって異なります。最近では、痛みを和らげる方法も豊富にあり、無痛分娩(麻酔を使う方法)や、リラックス法、呼吸法など、痛みを管理する手段が増えています。分娩の方法や痛みへの対処法について、助産師と事前に相談しておくと安心です。
産痛を和らげるためには、痛みの感覚を別の刺激でごまかす方法(ゲートコントロール理論)があります。たとえば、圧力をかけたり、マッサージをしたり、足を温めたり、温かいものを使ったりする方法です。また、アロマを使ったケアも、痛みを和らげるために取り入れられています。
【ゲートコントロール理論ついて】
ゲートコントロール理論とは、痛みが伝達する途中にゲート(門)があり、痛みの伝わり方をコントロールしているという疼痛理論です。
刺激を伝える神経には、痛覚を伝える細い神経繊維と、触覚による圧力などを伝える太い神経繊維があるとされています。複数の刺激が同時に発生すると、感覚を脳に伝える経路の門番である脊髄は、太い神経からのシグナルを優先的に受け取り、後からくる細い神経からのシグナルに対しては門を閉ざすというのです。
痛いところをさすると痛みを緩和することができるのは、別の刺激が入ることで、痛みのゲートを閉じさせる効果があるためと考えられています。
【タッチング、マッサージ、圧迫法、指圧】
ゲートコントロール理論では、産婦が痛みを感じる場所をさする・圧迫することで太い神経線維(Aβ線維)を刺激し、それによって痛みが緩和するという効果があります。
産婦が痛みを感じる場所に、自分が気持ちよいと感じる方法を選びます。陣痛が来ているときはその方法を使い、陣痛が収まった時は全身の力を抜いてリラックスできるように、体を楽にするようにサポートします。
過去の研究から、指圧には産痛を軽減する効果があると報告されています。また、満足度が高まったり、帝王切開の割合が減るという研究結果もあります。付き添ってくれるパートナーや家族、助産師に指圧をしてもらってもいいかもしれません。
陣痛の時に鍼療法や指圧でよく使われるツボには、三陰交(さんいんこう)、合谷(ごうこく)、腎兪(じんゆ)や次髎(じりょう)、などがあります(妊娠中の刺激は避けた方がいいツボもありますので、37週を過ぎてから試してみてください)。
さらに、陣痛の痛みにより過呼吸になりやすいため、吐く息に集中することで、過呼吸を予防します。呼吸法により骨盤底筋群の緊張がほぐれ、お腹の赤ちゃんの圧迫や産道の損傷も少なくなり、ママと赤ちゃんへの負荷を最小限にできると言われています。
吐く息に集中し、ゆっくりと息を吐くことでリラクセーションをはかります。
お産の始まりは、下腹が痛いことが多いです。リラックスした呼吸で、カイロを貼って下半身を温めると、循環が良くなって産痛の緩和につながります。
【痛いの部位の変化とケアについて】
妊娠中の睡眠の質はお産にも影響があるともいわれています。寝る前にスマホを使わないようにして、睡眠の質を高めることをおすすめします。
【お産と妊娠中の睡眠の関係】
メラトニンは私たちの睡眠リズムや体内時計の調整に関係しているホルモンです。通常、日中など明るい場所にいるときはメラトニンの分泌量が少なくなり、夜間の暗いときには分泌量が増えます。
目安としては、就寝2時間前にはスマートフォンやパソコンを使わないように心がけることが大切です。それに加え、寝室を暗くしておくと、睡眠の質をより高くすることができるでしょう。
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